リスク・ファイナンシング
リスク・ファイナンシングとは
リスク・ファイナンシングは、損害を復旧させるために金銭的・財務的な手当をすることです。しかし、リスクそのものを変えることはできません(ペリル、ハザード、エクスポージャーは存在する)。事前にリスクをコントロールする(ひと手間加える)ことにより、効果的にリスク・ファイナンシングが実行できます(シナジー効果)。リスク・ファイナンシングには、移転と保有があります。
リスクの移転
第三者に財務的なリスクを移転する(リスクを負担してもらう)ことです。リスク・コントロールの移転と異なり、エクスポージャーの移転はなく、発生する損害を負担してもらいます。リスクの移転の方法として最も多く利用されているのが保険です。企業は、保険会社に保険料を支払って、発生した損害を保険会社に負担してもらいます。ここで、企業がリスク・コントロールをしている(消火設備の設置等)と保険料が削減できます。
リスクの保有
発生した損害を自ら負担することです。つまり、リスク・コントロールを行い、リスクを分析・把握し、その大きさを評価し、対策を講じることにより適切なリスクの保有ができます。
上述のように、リスク・ファイナンシングには、リスクの移転と保有がありますが、できる限りリスクの移転を試みることをお薦めします。リスクは、「どんな損害が」、「どれくらいの規模で」、「いつ起こるか」等誰も予測ができません。何の手立てもせずに企業が損害を被った場合、その損害は企業の存続に大きな負の影響を及ぼします。それを復旧するために、銀行、親会社、関連会社等からの借入れが必要になり、たとえ損害が復旧しても将来にわたる債権者に対する返済の義務が残ります。
一方、リスクの移転(例えば、保険)は、予め決めた費用(保険料)を保険会社に支払うことにより、将来のリスクの全部または一部を保険会社が負担します。また、損害を復旧するために保険会社が支払った保険金は、企業に返済の義務は発生しません。
つまり、
- 企業のバランス・シートを傷めず、健全性が維持できる。
- リスクに対する費用が確定できる。
- 保険金が支払われても、保険会社に対する返済の義務は発生しない。
さらに、ある一定金額を保有し、それを超過する損害についてリスクの移転を行えば、そのコストを引き下げることができます(自己負担額を設ける)。